東京で保育士の争奪戦が熱を帯びている。都心の有効求人倍率は、今春の採用が本格化した昨年11月に66倍に跳ね上がった。待機児童対策で施設が増える一方、離職率は年平均8%を超え、「保育士集めはもう限界」との声も聞かれる。 「ボーナスは年4回。年に1回は必ず昇給します」「家賃の自己負担は1万円。冷蔵庫や洗濯機は園側で買いそろえます」 東京・渋谷で4月下旬に開かれた保育士就職セミナー。来春卒業予定の学生たちに、保育所の採用担当者がアピールした。就職情報大手「マイナビ」が主催し、2日間で計67法人がブースを出した。 世田谷共育舎(東京都世田谷区)は来春、区内に三つ目の保育所を開く。必要な保育士数は18人。中村淳子統括園長は「セミナーで話した学生の顔を思い出し、全員に『また会いましょう』と手紙を書く」と話した。今年は300人以上に書くつもりだ。 23区で15保育所を運営するアンジェリカ(目黒区)の大賀