真夏の太陽が照りつける甲子園。白球を追いかける高校球児のひたむきな姿、アルプススタンドの大歓声、そして試合後に流れる涙──。テレビや新聞が伝えるその光景は、野球ファンの心を打ち、夏の風物詩として扱われてきた。 しかし、その輝かしい物語を紡ぐメディアの裏側では、一体何が起きているのか。 弁護士ドットコムのニュース編集部には、かつて甲子園取材の最前線にいた記者が5人いる。今回、テレビ、新聞、スポーツ紙と、それぞれ異なる立場から見た「もう一つの甲子園」について座談会を開いた。 ●輝く聖地の裏側 「物語」を求めるメディアの狂騒 ──早速ですが、みなさんの甲子園取材で最も印象的だった「現実」からお聞きしたいです。ちまたに溢れる感動的なイメージとは違う部分はありましたか? 記者B(元スポーツ紙):今になって思えば、僕にとって甲子園取材は、選手の体験をひたすら「消費」する「作業」でしたね。読まれるという
