原題:The Fukushima black box 出典:http://www.economist.com/node/21542437 浪江町の町から福島県の沿岸の丘の上まで伸びる道には息を呑むような静けさがある。険しい渓谷を河川沿いに続く狭い道にはカエデがちりばめられている。その風景がどれだけ美しいとしても、その近隣の原子力発電所で起こったメルトダウンが起こった時に8,000人の住民が逃げるための避難路としては最悪だ。 2011年3月11日の地震と津波の翌日、浪江町の住民は、相対的に安全だと思われた津島の離れた村に向かうためにそのつづら折りの道に沿って3時間以上かけて30キロもの行程を移動した。彼らはその時、福島第一原発のゲートから車でわずか10分の距離にしかない浪江町の街よりも遥かに酷い、最悪な放射線のホットスポットの原因となった放射性物質の見えない霧の中に突っ込んでいっていたという