高収入の専門職を労働時間規制の対象外とする「脱時間給」(高度プロフェッショナル)制度の導入を巡り、政府、経団連、連合の政労使合意が見送られた。 一時は条件付き容認を表明した連合が、態度を転じたためだ。かねて「長時間労働を助長する」と反対してきただけに、組織内の反発が強く、撤回を余儀なくされた。政労使協調を主導した事務局長の会長就任も立ち消えになった。 組織内外の信頼を大きく損ねた連合執行部の責任は重い。 政府は、連合が求めていた健康確保策を強化した上で、新制度導入を含む労働基準法改正案を今秋の臨時国会に提出する方針だ。 労基法は、労働時間を「1日8時間、週40時間」と定め、これを超える残業や深夜・休日労働に対して、割増賃金の支払いを企業に義務づけている。 新制度には、この規定が適用されない。賃金は働いた時間に関係なく、成果や能力に応じて決まる。既存の裁量労働制も実労働時間にかかわらず、一定