文化審議会の漢字小委員会が、昭和56年に制定された常用漢字表(1945字)の改定作業を進めている。パソコンなどの変換ソフトで「読み」さえ分かればJIS漢字(6355字)のすべてを使える現状に対し、常用漢字表が“時代遅れ”になっているのが見直しの理由だ。平成22年の改定に向け、漢字は何を基準にどう絞り込まれ、どんな議論がなされているのだろうか。(社会部 鵜野光博) ◇ 漢字小委が常用漢字表に新たに加える候補の第1次素案を公表した5月12日、同委の会合では、追加が濃厚の「S」ランク扱いされた「俺(おれ)」について、賛否が分かれた。 「公的な場面での使用を意識した常用漢字表に、極めて私的な場面で使う『俺』まで入れる必要はない、という意見がワーキンググループで出ている」「私的な漢字はほかの常用漢字にもある。筒井康隆の小説の一人称は『俺』で、男性が心の中で自分