JR恵比寿駅から徒歩15分。渋谷区の閑静な住宅街の一角に、遊び心あふれるカプセル玩具で大人たちを魅了する玩具メーカー、奇譚クラブ(東京都渋谷区、古屋大貴社長)の本社がある。6月上旬、特集「熱狂顧客の育て方」(日経ビジネス6月24日号)に向けた取材の一環で、同社を訪問する機会を得た。 「奇譚クラブ」と言えば、三島由紀夫や渋澤龍彦らに賞賛され、「戦後最大の奇書」と呼ばれる沼正三氏の小説「家畜人ヤプー」などを連載したSM雑誌のタイトルだ。なにやら昭和の匂いと屈折したエロティシズムを漂わせる社名だが、いまどきの玩具メーカーにはあまり似つかわしくないように思える。 マンガやゲームなどのサブカルチャーに疎い筆者は、実のところ「マニア」や「おたく」と呼ばれる人々の感性を理解するのがあまり得意ではない。ヒット商品を連発しているとはいうものの、奇譚クラブが特集の趣旨に合致する会社なのかどうかも、正直よく分か
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