メインフレームで実施していた業務の独自性が強く、移行プロジェクトが中止に――。約30年にわたってメインフレームのシステムをオープン系ハードウエアに移行する作業に携わってきた筆者は、こうした事例をよく見聞きしてきた。独自性の強い業務はメインフレームシステムが塩漬けになる理由の1つだ。 例えば、ある製造業で現場が悲鳴を上げているエピソードがあった。その企業では、プログラムロジックをそのままに言語だけを置き換える「リライト」の手法を用いてメインフレームのアプリケーションを移行しようとした。COBOLからJavaへソースコードを変換したところ、浮動小数点演算の部分で、旧システムと新システムとで計算結果に誤差が生じた。 この誤差が業務上許容できるものかできないものか、移行作業を担当した者には判断がつかなかった。長年、先輩社員がプログラムロジックに反映させてきた業務ノウハウを継承できていなかったからだ