日本から、ダライ=ラマ時代について「中国公式筋がいうように、チベット政府は本当にあれほど過酷な政治をやり、農牧民はあれほど悲惨だったのか」という質問を受けた。 今年は「農奴解放50周年」という。中国国内ではチベット農奴制について多くの論説があったが、共通するのは、農牧民への抑圧と強収奪、土地への縛りつけ、生産の停滞、そして食うや食わずの生活という内容だった。 だが、25年前もダライ=ラマ時代は「農奴は毎年現物あるいは貨幣の形で収入の70%以上の地代を納めたほか、多種の重税と『ウーラ』と高利貸の搾取があった。人身の自由はなく、農牧業生産も発展できなかった」(『西蔵農業地理』科学出版社 1984年)という評価であった。 江戸時代はだいたい「四公六民」「五公五民」といわれたが、米以外の畑ものを勘定に入れるともっと負担は軽かった。なのにダライ=ラマ時代の収奪が「七公三民」とはひどいと誰でもおもうだ