同政権を打倒し2012年の民主選挙ではイスラム原理主義を掲げるムスリム同胞団が政権に就いたが、その1年後、今度はムスリム同胞団出身のモルシ前大統領がムバラク元大統領と同じようにデモ隊と軍部の力によって政権の座を追われた。 インフレと若者の高失業率で国民の不満が一気に爆発したのを受け、エジプト軍トップのシーシー国防相が混乱回避を理由に即時憲法停止を宣言し、前大統領の身柄を拘束して暫定政権を樹立したのである。 まさに軍が行った無血クーデターであったと言えよう。 ではなぜ、リビアや今なお内戦が続くシリアのような無辜の国民を流血の国内戦へ巻き込まなかった理由にはどのようなことがあろうか、また、モルシ支持派のムスリム同胞団の反発は依然と強く、エジプト国内各派の対立が続いているが、暫定政権は民主化に向けて歩み出すことが可能であろうか。