「私は私」――大坂なおみ選手はそう言った。彼女の全米オープン優勝をきっかけに、「ハーフ」に関する議論が非常に活性化している。 わたしが2ヵ月ほど前に執筆した「『日本人』とは何か?『ハーフ』たちの目に映る日本社会と人種差別の実際」(ニッポン複雑紀行)という記事も大坂選手の報道と重なるように閲覧数が急上昇していた。 なぜ「ハーフ」をめぐる議論がここまで活性化したのだろうか? そもそも、日本社会において「ハーフ」とはどのような存在なのだろうか? 「ハーフ」と呼ばれる人々はこれまでいかなる人生を歩んで来たのだろうか? わたしはこれまで、「ハーフ」をテーマに研究や調査を進めてきた。ここでは、「ハーフ」と呼ばれる人々の歴史や日常生活の現実を簡単に紐解いてみたい。 (※1 この記事では、研究者としての立場から、過去に語られた言葉として「混血」、現在一般的に知られている言葉として「ハーフ」という語句をその