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ブックマーク / sunakago.hateblo.jp (3)

  • バッドエンド症候群を超えて ――虚淵玄論(小説『Fate/Zero』について) - 鳥籠ノ砂

    はじめに なぜ、私たちは時として自他の不幸を望んでしまうのか。どうすれば、自他の幸福を望むことができるようになるのか。 虚淵玄は、株式会社ニトロプラスの取締役かつシナリオライターである。同社のデビュー作『Phantom』を手がけたのち『吸血殲鬼ヴェドゴニア』『鬼哭街』『沙耶の唄』そして『続・殺戮のジャンゴ』といったゲームシナリオを担当した。『白貌の伝道師』『アイゼンフリューゲル』といった小説や『リベリオン』の二次創作、さらに『ブラック・ラグーン』のノベライズなど活躍は多岐に渡っている。特に『ブラスレイター』『魔法少女まどか☆マギカ』『PSYCHO-PASS』『翠星のガルガンティア』といったTVアニメ作品の脚・構成・原案などは若いファンの記憶にも新しいはずだ。かくいう私も、そうした未熟な視聴者のひとりである。 虚淵玄を語る上で欠かせないのは、いわゆるバッドエンド症候群の存在である。「心温ま

    バッドエンド症候群を超えて ――虚淵玄論(小説『Fate/Zero』について) - 鳥籠ノ砂
  • 虚実の解体、ゴーストの代償 ――川原礫『ソードアート・オンライン』論 - 鳥籠ノ砂

    「……遠すぎるよ、お兄ちゃんの……みんなのいる所。あたしじゃそこまで、行けないよ」――リーファ 川原礫『ソードアート・オンライン』は2002年からネット上で発表されていたオンラインノベルであり、同時に、2009年から電撃文庫で刊行されているライトノベルである。作を手短に紹介するなら、VRMMORPG、言わば仮想現実の大規模多人数同時参加型オンラインRPGの姿を描いた小説ということになるだろう。まさに同タイトルは作中に登場するオンラインゲームの名称から採用されており、その設定や描写には、実際に『ウルティマオンライン』『ラグナロクオンライン』をプレイした作者の経験が存分に発揮されている。 とはいえ興味深いのは、その「ソードアート・オンライン」が第1巻の時点でクリアされてしまうことである。第2巻で外伝を執筆したのち、川原は「アルヴヘイム・オンライン」「ガンゲイル・オンライン」「アンダーワールド

    虚実の解体、ゴーストの代償 ――川原礫『ソードアート・オンライン』論 - 鳥籠ノ砂
  • 果たして「他者」はどこにいるのか? ――『シュタゲ』と『クオリア』 - 鳥籠ノ砂

    『シュタインズ・ゲート』は、その物語から『紫色のクオリア』と比べられることが多い。どちらも、大切な人が死んでしまったために、主人公がタイムリープを繰り返してその人を救おうとする点が共通している。『シュタゲ』ならば岡部倫太郎が椎名まゆりを、『クオリア』ならばマナブがゆかりを、それぞれ助けようとする。 ところで、しばしば『シュタゲ』よりも『クオリア』の方がテーマ的に優れているという批評が存在する。すなわち、前者には「他者」がいないが、後者にはその「他者」がいる、ということらしい。ここでの「他者」とは、たんなる他人ではなく、なにか主人公とは異なる主体性を持った者のようだ。 具体的に見てみよう。『シュタゲ』は椎名まゆりを助けようとする際、彼女の気持ちを重視していないという。この作品では、まゆりの命を救えば、一方でもう一人のヒロインである牧瀬紅莉栖が死ぬことになっている。どちらを生かし、どちらを殺す

    果たして「他者」はどこにいるのか? ――『シュタゲ』と『クオリア』 - 鳥籠ノ砂
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