タグ

ブックマーク / umiurimasu.exblog.jp (6)

  • 日本人はなぜクトゥルーを怖がらないのか : 族長の初夏

    最近、ちまちまとラヴクラフト全集を再読しているのですが、あらためて強く意識させられるのが、恐怖感についての日米文化の違いです。たとえばラブクラフトがさも自明のごとく使う「冒涜的」という表現の、いったい何がどう冒涜的なのか、まるでぴんとこないこと。また、クトゥルーや南極の〈古きもの〉がさほど怖いとも思えず、それどころか、むしろちょっとかわいいじゃん。などと愛着に近い感情すらおぼえてしまったりすること。こういった反応、恐怖の感じ方がひどく違うことについて、どこまでが個人の感性でどこまでが文化の差異によるものか、きちんと切り分けができたら面白かろうなあ、と思いながら読んでいます。 ラブクラフト作品での「冒涜的」という形容は、宗教上の教義と相容れないものごとだけでなく、普通でない、なじみがない、理解できない、ありえない、と語り手が感じる対象ことごとくに向かってつかわれます。キリスト教文化圏では、何

    日本人はなぜクトゥルーを怖がらないのか : 族長の初夏
    nagaichi
    nagaichi 2011/03/03
    んー、俺もホラーというよりネタ小説として読んでた気がするな。
  • 「異星人の郷」 マイクル・フリン | 族長の初夏

    異星人との交流を「徹底的に中世人の視点から」描く異色のファーストコンタクトSF。ゲームなどにありがちなナンチャッテ中世じゃない、リアル中世の暮らしってどんな感じなのか、SF分を補給しつつその雰囲気だけでも味わえたらと手にとったが、まさかここまで完璧に期待通りの内容とは。うれしい誤算でした。 マイクル・フリンの紹介や著作歴についてはこちら。↓ 嶋田洋一/マイクル・フリン『異星人の郷』訳者あとがき 作者の得意ジャンルはハードSFらしいのですが、「異星人の郷」ではそうした要素はひかえめで、中世ヨーロッパの科学観・宗教観や地道な異文化交流をこつこつ描き込むことに重きがおかれています。ぶっちゃけ、物語の結構としては非常にありきたりなもので、展開もひたすら地味です。 しかし、思うにその点こそがこの作品のいいところではないかと。中世を忠実に再現し、目新しいSFアイデアや派手なドラマを排したおかげで、「

    「異星人の郷」 マイクル・フリン | 族長の初夏
    nagaichi
    nagaichi 2011/02/04
  • テッド・チャン インタビュー [2010.07] "On Writing" | 族長の初夏

    つい昨日、テッド・チャンの直近のものらしきインタビューが Boing Boing にアップされました。昨年の来日時のインタビューの翻訳 「 「地獄とは神の不在なり」を巡って」の倍近いボリュームがあるようです。以下、特に面白そうな中盤の部分を少しだけ個人的に日語訳したものを載せてみようかと思いますが。時間と自由意志、最新作 "The Lifecycle of Software Objects" の動機について語っているあたりです。あと、日での妙なチャン人気の理由とか。 あなたの作品の多くは未来予知に関係するものごとを扱っています。時間の性質の何があなたの心をとらえるのでしょうか?自由意思の問題。タイムトラベルのすべての面白さの根にあるのは自由意思だと僕は思っている。 僕のいうタイムトラベルには、未来から情報を受け取ることも含まれる。それは質的にだれかが未来から旅してくるのと同等のこと

    テッド・チャン インタビュー [2010.07] "On Writing" | 族長の初夏
    nagaichi
    nagaichi 2010/07/24
    身も蓋もないこと言ってます。じゃ意識もクオリアも持たない高度な機械知性の創り出す未来を見せてくれ!
  • 「順列都市」グレッグ・イーガン | 族長の初夏

    今さらすぎて恐縮だが、ありのまま起こったことを話すぜ…… 「仮想空間で宇宙のシミュレーションを走らせていたと思ったらいつのまにか自分の宇宙の方が逆にシミュレートされていた」 だいたいこんな話。だったよね? 難解で理屈っぽいというイメージをもたれがちなイーガンですが、じつはこの順列都市はけっこう「笑える」小説なんじゃないかと思います。特に終盤、飼ってた虫に「あんたらの宇宙論ないわー」と否定されたせいで宇宙崩壊!逃げるぞ急げ!いやじゃわしはここで死ぬんじゃ!と大騒ぎしてるあたりとか。登場人物にとってはシリアスな状況だけど、見ようによってはパニックコメディみたいにも見える。そして話のスケールがあまりにもでかすぎ。それが水も漏らさぬ論理展開の帰結だからよけいおかしみを誘う。そんなふうに感じる僕がおかしいのかな。 塵理論についてはどうも理解があやふやでした。でも、 グレッグ・イーガン自身による塵理論

    nagaichi
    nagaichi 2009/10/11
  • 日本はいつから「未来」であることをやめたのか?(サイバーパンク的な意味で) : 族長の初夏

    「ブレードランナーやニューロマンサーの頃って未来の日がやたら流行ってたけど、あれってなんで廃れたの?バブルがはじけたから?」「いや、アニメやマンガがあたりまえになりすぎて目立たなくなっただけだろ」みたいなことをアメリカSF好きな人たちが言っています。日SFファンにとっても面白い話題なのではないでしょうか。で、少し訳したりしながら僕も考えてみました。米国のサイエンスフィクションはかつて、ブレードランナーからニューロマンサーまで、日に魅了されていた。 日のものはすべて、アメリカの小汚い美意識よりもクールで洒落ていて輝かしく見え、日は支配者となるべく運命づけられた存在だった。(中略) ウィリアム・ギブスンが「ニューロマンサー」の執筆中にブレードランナーを見に行ったというエピソードの中で、彼は、映画が描く未来のヴィジョンと彼の小説のそれがあまりにも似すぎていたことにショックを受け、も

    日本はいつから「未来」であることをやめたのか?(サイバーパンク的な意味で) : 族長の初夏
    nagaichi
    nagaichi 2009/06/23
    いや、やっぱバブルがはじけたからでしょ。1990年ごろに書かれたアメリカ近未来ものSFって、日本人や日本企業が経済的支配者として君臨する逆ヤプーみたいな話がけっこうあった。
  • 「ニューロマンサー」に出てくる謎の武器の正体 | 族長の初夏

    なにげなくギブスンスレに行ってみたら長年の疑問があっさり解かれてた。女はそれを差し出して見せた。鈍色の鋼鉄の筒で、一端に革紐、もう一方の端にはブロンズ色の小さなピラミッドがある。女は片手で筒を握り、もう一方の手の親指と人差し指とでピラミッドをつかんで、引いた。固く巻きこんだコイルばねが三、油まみれに伸び出して、噛みあった。 (「ニューロマンサー」より)刊行以来多くのギブスン読者をまごつかせてきたであろう、この「コブラ」という武器についての描写ですが。2chのウィリアム・ギブスンスレッド Part5によると、実際的な護身用品としてはこういうものではないかというのです。確かにこれは、いわれてみればまさにぴったりな描写ではある。僕は今までずっと、バネのついた爪とかが三同時にびよ~んって飛び出すびっくり拷問具みたいなものを想像してました。もちろん冷静に考えればそんなのは不条理だし、第一それじゃ

    「ニューロマンサー」に出てくる謎の武器の正体 | 族長の初夏
    nagaichi
    nagaichi 2009/02/18
  • 1