ソフトバンクの「アクセス回線会社」構想が技術的・経済的に無理があることはこれまでにも指摘したとおりですが、それ以前に政治的にも不可能に近い。これは私のようにNTT問題に四半世紀もつきあわされた人々には周知の問題ですが、最近は知らない人も多いようなので、ごく簡単にまとめておきます。 NTTを水平分離すべきだという議論は古くからあり、私も6年前に山田肇氏と共著で提言したことがあります。この場合も光ファイバーは会計分離で、資本関係を解消する「構造分離」は不可能です。2006年の「竹中懇談会」でも、過去の経緯を知らないまま奇妙な「水平・垂直分割」論を出して、自民党につぶされてしまいました。NTT労組の支援を受ける民主党政権では、もっと困難でしょう。 さらにNTTの経営陣や株主が訴訟を起こす可能性もあります。アメリカでは、1996年法にもとづくUNE(回線開放)規制を「財産権の侵害」とする訴訟をIL