三笠宮が健康を害して入院中だ。86歳という高齢だが、この際、三笠宮についての1つのエピソードを紹介したい。 ことしは日中国交正常化30周年である。正常化は1972年、日中平和友好条約の調印は78年だった。そのころ、皇族の中国訪問が話題になった。 75年、昭和天皇はタイム誌記者のインタビューに対し、「日中平和友好条約が締結され、中国を訪問する機会が訪れれば、非常にうれしい」と答えている。また、一方で、高齢の昭和天皇にかわって、皇太子(現天皇)の訪中計画もあった。 皇太子の訪中がクローズアップされる前、第一候補といわれていたのは、三笠宮である。 三笠宮は古代オリエント史や考古学の学者としても著名だが、「古代中国史にも非常に関心があって、中国に行きたくてしようがないようだ」と、三笠宮周辺の人たちの見方は一致していた。こんな三笠宮の胸中を察してか、中国科学院の郭沫若院長から、歴史学者・三笠