帯広刑務所(帯広市別府、中川忠昭所長)の一室。受刑者が車座になり、人間関係でつまずいた経験を話し合う。元造園業のKさんは、自身の問題場面の説明で同僚とのいさかいを振り返る。同僚の不手際をめぐって口論になり、その場はKさんが冷静に収めたが、帰りがけに同僚が何気なく発した一言で気持ちが切れた。「こっちは腹の虫が収まっていないのに、謝りもなしに『あしたも頼むね』の一言。結局、仕事を辞めてしまい、その後、金の問題で事件を起こしてしまった」 これは、同刑務所で行われているソーシャル・スキル・トレーニング(SST=社会生活技能訓練)の一幕だ。SSTは認知行動療法の一つで、主に対人関係で生じる問題に対し、感情と行動をコントロールする方法を身に付けるのが目的。同刑務所では、出所後に人間関係をめぐるトラブルで失職することを防ぐため、就労支援指導の一環として取り組んでいる。 プログラムは、外部の作業療法士