人気ロックバンド「GLAY」と所属事務所ラバーソウルが12月10日、GLAY名義で発表している楽曲について、結婚式で使う場合に限って、「著作隣接権」の料金を使用者から徴収しないと発表した。 公式サイトによると、GLAYの楽曲を「結婚式で使用したい」という問い合わせが多数あったという。「結婚式という人生の素晴らしい舞台で自分達の曲を使用してもらえる事は大変喜ばしいことである」というメンバーの思いから、今回の「無償提供」が実現したようだ。 今回の発表について、ネット上では称賛の声があがっている。一方で、使用法によって、演奏権と複製権の使用料については、JASRACなど楽曲の管理団体に支払う必要があるとしている。 つまり、完全に「無償」というわけでないのだが、このあたりが少しわかりづらい。はたして、今回のGLAYの「無償提供」はどういう意味があるのだろうか。著作権法にくわしい高木啓成弁護士に聞い
ネットにあふれ、社会問題となっているヘイト(憎悪)や差別の表現に、一石を投じる判決が相次いで出ている。まとめサイト「保守速報」の記事で名誉を傷つけられたとして、在日朝鮮人のフリーライター李信恵さんが、サイトを運営する男性に2200万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は11月16日、男性に200万円の支払いを命じる判決を言い渡した。 争われたのは、巨大掲示板「2ちゃんねる」(現5ちゃんねる)やTwitterなどに書き込まれた、李さんに対する投稿を転載、編集した45本もの記事。そこには、李さんに対して「朝鮮の工作員」「頭おかしい」「日本から叩き出せ」などの表現が使われ、2013年7月から約1年間にわたって「保守速報」に掲載されていた。 判決では、そのうち43本の記事の中で、「名誉毀損」「侮辱」「人種差別」「女性差別」があったことを認め、「複合差別に根ざした表現が繰り返された点も考慮すべきであ
東京都世田谷区立の小学校で「組み体操」の練習中にケガをして、後遺症が残った生徒が、世田谷区と元担任を相手取り、損害賠償などをもとめていた訴訟は12月11日、東京地裁で和解が成立した。両親は、和解成立後に記者会見を開いて「すっきりした気持ちでない」と心境を明かした。 ●元担任からは謝罪の言葉なく、「これ以上の話し合いは無駄」 和解の内容は、世田谷区が(1)謝罪すること、(2)安全面に配慮した内容や指導方法を徹底させること、(3)損害賠償金1000万円を支払うこと――など。生徒側は、元担任も相手取って提訴していたが、謝罪もなかったため、この日に訴えを取り下げた。両親は「これ以上話し合いを続けることは時間の無駄だと判断した」としている。 訴状などによると、当時小学6年生だった生徒は2014年4月、翌月の運動会に向けて、組み体操の練習をしていたところ、転倒して頭部や背中などを強く打つ事故にあった。
11月から「介護」が加わり、受け入れが拡大する外国人技能実習制度。その問題点について考える日弁連主催のシンポジウムが10月30日、弁護士会館で開かれた。 シンポでは日本同様、「実習生」への人権侵害が横行していた韓国で、労働環境が改善されていった事例が紹介された。特徴的なのは、建前を捨てて、外国人労働者の受け入れ制度として見直しを行った点だ。 ●日本では監督を強化するが、弁護士「構造問題はそのまま」 日本の実習生制度は、発展途上国への技術移転を目的にスタートした。しかし、安価な労働力の供給源として活用されることも多く、実習生への人権侵害の報告が絶えない。 たとえば、ものづくり産業労働組合(JAM)には、実習生から「聞いていた労働条件と違う」「残業代が時給300円しかない」といった劣悪な労働環境についての相談が多く寄せられているという。 こうした問題を受け、今年11月からは「外国人技能実習機構
会社にある設備は正社員以外使用禁止で、派遣社員はダメーー。正社員と派遣社員でこんな「線引き」をしている会社があるという投稿がツイッターで話題になっています。 きっかけは、「某大手企業に派遣で行ってる友人と飲んだ時に『会社内のウォーターサーバーに、正社員以外使用禁止と書かれていた』『食堂も正社員しか入れないのでビルの外のコンビニで買ってる』という話を聞かされた」といった内容のツイートで、これまで1万回以上RTされています。 このツイートに対して、「派遣社員やってた頃『休憩室、及び喫煙所は派遣社員の立入禁止」「派遣は食堂とカップ麺等の自販機の使用禁止』『ロッカールームは派遣は利用できない』っていう会社は実際あった」といった実体験も次々と投稿されています。 弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、契約社員の女性から「正社員はお昼補助が月に1万出るのに契約社員はなし。産休なども正社員も三分の一しか
街中や店内など、いたるところに配置されている防犯カメラ。事件解決に大きな力を発揮する一方で、冤罪を作り出すこともあるようだ。 11月7日、弁護士会館(東京)で開かれた日弁連主催のシンポジウムでは、カメラの映像による冤罪被害者らが、「都合の良いほんの一部だけを抜き出して、こじつけられた」などと怒りを口にした。 ●「無罪だと確信していても、判決の日は震えるくらい怖かった」 大阪府のミュージシャン・SUN-DYUさんは2012年、2か月前に起きたコンビニから1万円が盗まれた事件の容疑者として逮捕され、窃盗の疑いで起訴された。犯人はマスクで口元を隠していたが、店員が複数の顔写真の中からSUN-DYUさんに似ていると証言したことや、防犯カメラに映った背格好、店のドアについた指紋が根拠になった。 しかし、検察から開示を受けた映像をチェックしたところ、犯人は指紋の場所を触っていなかったことが判明。さらに
2014年に起きたベネッセコーポレーションの顧客情報流出事件をめぐり、個人情報の漏えいによる損害賠償が認められるかが争われた訴訟の上告審判決が10月23日にあった。 最高裁第二小法廷は、「個人情報を漏えいされて不快感や不安を抱いただけでは、直ちに損害賠償を求めることは出来ない」とした二審判決について、「審理を尽くさなかった違法があるといわざるをえない」と破棄。審理を大阪高裁に差し戻した。 訴えを起こした顧客の男性は、男性の氏名、郵便番号、住所、電話番号とその子ども(10歳未満)の氏名、性別、生年月日の個人情報が漏れたとして、ベネッセ側に10万円の損害賠償を求めていた。 ベネッセは情報漏えいした顧客にお詫びの金券500円の支払いをすでに行ったが、現在被害者の会などによる1万数千人規模の集団訴訟も行われている。大阪高裁で損害賠償が認められれば、他の訴訟にも影響を及ぼす可能性がある。 最高裁の判
これでは逃げ得ではないのかーー。長い裁判の末に勝ち取った勝訴判決。しかし、裁判所がどれだけ高額の賠償金を命じても、実際に払われるかどうかは分からない。相手が支払わなかったとしても罰則はないし、強制執行にも限界があるからだ。 日弁連が2015年に行ったアンケート調査では、殺人などの重大犯罪について、賠償金や示談金を満額受け取ったという回答はゼロ。6割の事件では、被害者側への支払いが一切なかったというデータもある。離婚の際、子どもの養育費について取り決めたのに、約束が果たされないというのもよく聞く話だ。 このほか、2ちゃんねるの創設者・ひろゆき氏は今年5月、AbemaTVの番組「エゴサーチTV」の中で、「(命令に従わない場合は)1日5万円払えっていう判決が出たりするんですよ。面倒臭いから放っておくと、1日5万円がすげー増えるんですよ。それが何件もあるから、累積で30億くらいいったと思うんですけ
販売から5年経ったアダルトビデオ(AV)の作品について、出演した女優から要請があれば販売や配信の使用を停止にする方向で、業界内で調整がすすんでいることがわかった。早ければ来年1月から販売・配信の作品に適用される見通しだ。 AV業界の外部有識者団体「AV業界改革推進有識者委員会」(代表委員:志田陽子・武蔵野美術大学教授)が10月4日、活動報告会を開いて明らかにした。業界関係者によると、メーカー間では大筋で合意されており、近日中にAVメーカーなど200社以上でつくる業界団体で方針が決まるという。 ●総集編制作時の「二次利用料」支払いなどの新ルールも 有識者委員会は、いわゆる出演強要などAV業界をめぐる問題を受けて、今年4月に発足した。AV女優など、出演者の自己決定権などを守ることに重点を置いて、業界の健全化を推進するために提言などをおこなってきた。この日の報告会では、次のような新しいルールの説
オンライン上で発注者が受注者を公募して仕事を発注するサービス「クラウドワークス」が9月21日、政治系ブログ記事作成の案件に関して、利用規約および仕事依頼ガイドラインに反するとして掲載を中断したと発表した。22日現在、該当ページは表示できなくなっている。 この募集を巡っては9月20日、ツイッターで「『共産党に票を入れる人は反日』というブログ記事を書けば一件につき800円の報酬がもらえることが判明。」と募集の概要がスクリーンショットされた投稿をきっかけに、話題となっていた。 ●「保守系の思想を持っている方限定というのは、私が保守系だから」 一体どんな内容だったのだろうか。この募集が掲載されたのは9月20日。仕事の種類は「ブログ記事作成」とあり、テーマは「日本にとって何がベストなのか保守系の立場から書いてください」と書かれていた。文字数は1記事あたり1800〜4000文字で、記事単価は800円だ
日本郵便の契約社員3人が、正社員に支払われている各種手当が契約社員に支払われないのは労働契約法違反にあたるとして、日本郵便に計738万円の支払いを求めていた訴訟で、東京地裁は9月14日、日本郵便に計約92万円の支払いを命じる判決を言い渡した。 労働契約法20条では、正社員と契約社員の待遇差について、「不合理と認められるものであってはならない」としており、原告側は、正社員と同様の業務に携わっているにもかかわらず、年末年始勤務手当や早出勤務手当、住居手当などの各種手当が支払われていないことや、病気休暇などの各種休暇がないことについて、違法であると主張していた。 判決では、年末年始勤務手当と住居手当の損害賠償を認め、夏季冬季休暇、病気休暇が契約社員に与えらえないことは、不合理な取り扱いにあたり、不法行為が成立すると判断した。 賞与など否定された部分もあるが、弁護団は「これまでの消極的な司法判断の
ある日、都内に住む女性の子ども(6歳)が「バーニラー、バーニラー、バーニラ、きゅうじん♪」と歌い出した。歌っていたのは、風俗店求人サイトの宣伝をするトラックが渋谷の繁華街を走りながら大音量で流している楽曲。何度も聞いて覚えてしまったのだ。ギョッとした女性は「歌っちゃダメ!」と止めたが、「どうしてダメなの?」と聞き返され、困惑してしまったという。 このような広告目的のトラックはアドトラックと呼ばれ、アーティストの新譜発売や映画の広報などさまざまに利用されている。一方で、ここ10年ほど、大きな音や派手な電飾、公共空間にそぐわない内容の広告を行うアドトラックへの苦情が増加。東京都では、2011年に屋外広告物条例施行規則を改正、広告デザインに関する自主審査制度を導入するなど対策をとってきた。しかし、その自主審査の基準に引っかかるようなアドトラックが、いまだに街を走っている。一体、なぜなのか、東京都
「一言で言うと、奴隷制度とか、人身御供システム」。大手コンビニの法務部に勤めていた男性は、コンビニのフランチャイズ(FC)システムについてこう言い切った。 「(仕入れ費用を貸し付けるなどして)借金漬けにするんだよね」「加盟店の人で契約書の中身を理解して入っている人なんて、99%いないですね」 これは、このほど完成した土屋トカチ監督のドキュメンタリー映画『コンビニの秘密 ―便利で快適な暮らしの裏で』の一幕だ。 作中では、長時間労働で両親を亡くした2代目や、近隣に系列店を出されたコンビニオーナー、自腹購入を強いられたアルバイトなど、多くの関係者に取材し、コンビニの9割を占めるというFC店の裏側に迫っている。 学校教材としても使えるように作った39分の映像。土屋監督は「コンビニが最初のアルバイトになる人も多い。たくさんの人にコンビニ本部がやっていることはおかしいと認識してもらいたい」と話している
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