「南極料理人」というちょっと楽しい小品があった。その監督が沖田修一という若者である。その沖田監督の最新作「キツツキと雨」を観る。主人公が武骨な木こりと初演出の新人監督という設定だから、監督自身のことにかぶってくる。木こりには役所広司、新人映画監督には小栗旬が扮している。小栗旬も「シュアリーサムデイ」という映画を演出しているのでこれもかぶっている。 「シュアリーサムデイ」のぼくの評を見てみると、“素人の域を出ない未熟な作品だが、光るものも少しはあった”と書いてあった。おそらく、「キツツキと雨」に出てくる監督の作品もきっとそんな評をもらうようなものだったろうと想像する。その新人監督が撮る映画はゾンビが出てくるのだが、何とも頼りない監督ぶりなのだ。 ストーリーは、山の中の村に映画の撮影隊がやってくる。その撮影隊をなぜか手伝うはめになった木こりの克彦(役所広司)は、自分の息子くらいの歳の新人監督幸