「鞄の薄さは 頭の薄さ」 「服装の乱れは 心の乱れ」 「リップ光れば 車も止まる」 アホみたいな標語だ。 今思い返してもアホみたいだが、30年前にもアホかと思っていた。 なのに、どうしていつまでも覚えているのだろう。 これらはそのむかし、門バア(かどばあ)と呼ばれた伝説の鬼婆が、女子中高生だった私たちに向かい口癖のように唱えていた言葉たちだ。 その心は、学生鞄(1980年代に全国共通だった革製の学生鞄のこと。 ぺたんこに潰れているのがイケているとされていた)に教科書を入れず薄く潰すような、勉学を疎かにして流行を追う者は、頭が悪く薄っぺらい人間だということ。 服装の乱れとは、制服の改造を指す。 当時はセーラー服の脇を少し詰めてボディラインに添わせたり、スカート丈を短くすることが校内でオシャレとされていた。 逆にスカート丈を長くするスケバンスタイルの場合は、大人への反抗心を表した。 「リップ光