「ナッジ」とはなにか ナッジとはなにか。 そんなものは検索したらわかりやすい解説がたくさん出てくる。でも、おれは親切なのでいくつか例を書く。 たとえばタバコのパッケージに「生々しい」写真を印刷することを義務付けて喫煙率を減らす。 大学のプリンターの初期設定を「両面印刷」にして紙の消費量を減らす。 空港の男子用小便器に蝿の絵を印刷して、飛び散る汚れを減らす(これは人類のだいたい半分にしかわからないのではないかと思うが)……。 そんな仕掛けである。GPSによる経路検索、食品のカロリー表示、テレビのリモコンについたオンライン配信メディアのボタン……。 もともとは「そっと後押しする」というような意味らしいが、ともかく行動科学とか心理学とかそういうものに基づいて政策とかを仕掛けるぜ、という話だ。言い出しっぺの定義によればこうなるらしい。 選択を禁じることも、経済的なインセンティブを大きく変えることも
事業の強い「在り方」が結果的に強い「数値」を引き連れてくる 米IT大手4社「GAFA」(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルをひとまとめにした呼称)は、2年間続くコロナ禍をものともせず、発表される決算の数値は相変わらず力強さを維持しています(SNS『フェイスブック』を有するメタは、ややメタバースへの先行投資がかさんでいるようですが)。 GAFAが力強い数値を持続できるのは、厳密に数値計画を立て、営業がタフにクリアしているからというより、稼ぎ出す枠組み(プラットフォーム)をつねに進化させ、独自のものに磨き続けている結果として、強い数値が出てしまうといったほうがよいかもしれません。 GAFAの強さはいろいろに語ることができますが、本稿では、その強さは事業目的の目線が一貫して「在り方」に置かれている点にあるとみます。 すなわち、GAFAはそれぞれの分野で新しい枠組みをつくり上げ、そこでい
「申し訳ありません」はお詫びの言葉ではない? ビジネスシーンでは悪気はなくてもミスをしたり、相手に迷惑をかけてしまうことは日常茶飯事です。相手を不快にさせて怒らせてしまったら、まずはひたすらお詫びするしかありません。 そしてお詫びを代表する言葉といえば、「申し訳ありません」ですね。 「申し訳」には「言い訳」という意味があります。つまり「言い訳はできません」と、自分のミスを認める表現で、正確にいうとお詫びの言葉ではないのです。 もっともストレートな表現は「お詫びいたします」です。 「深くお詫びいたします」「深謝いたします」というのも心からの謝罪を伝える言葉です。「深」という漢字の右側は「穴」と「木」です。穴の深さを木で測るという意味で、この右側に「氵=さんずい」がつくと、水の深さを測るということを表します。その場しのぎではなく、水底まで届くような深いお詫び、ということです。「深謝」は深く感謝
私が仕事の中で教わり、その後も公私に渡ってたいへん役に立った技術の一つに、「相手に、課題に気づいてもらうテクニック」があります。 私が所属していた組織ではそれを「気づかせ術」と呼称していました。 そう聞くと、もしかしたら 「課題は、ストレートに指摘するほうが誠実」 とか、 「はっきり指摘しないと、相手は気づかないよ」という方もいるでしょう。 でも本当にそうでしょうか。 課題を指摘されて 「ズバッと言ってくれて、ありがたいです」 「ああ、私がまちがっていました。確かにそれは課題です。直します」 なんて人、どれだけいるでしょうか。 残念ながら、ほとんどそういう方はいません。 「内容が正しかろうが、正しくなかろうが、課題を指摘しても、ほとんどの人はそれを受け入れない」のです。 それを理解しているかどうかが、コンサルタントとして、うまくやっていけるかどうかの境目でもありました。 * 例えば、以下の
きっついお話を先月のbooks&appsで見かけた。 実力も謙虚さもない年配者は、もう居場所がない。 結局のところ、実力に関わらず「素直さ」、「学ぼうとする意欲」、「ちょっとしたチームへの貢献」というのは、年齢関係なく、歓迎されるといえる。 要は年配になっても「謙虚さ」を保てるかどうか、という話に帰着する。 だが「そんなの無理」という年配者もいるだろう。 だが、こう考えてみてほしい。謙虚にふるまえるかどうかは「死活問題」だと。 シニアになってからのQOLに直結する話なのだと。 冒頭リンク先のお話をワンセンテンスにまとめるなら「実力もなければ謙虚さもない、そんな無能で鼻持ちならないシニアは忌避されるぞ」といった内容だし、たぶんそのとおりだと思う。 そして年上には謙虚さや徳の高さが(年下に比べて)期待されがちで、それもまた能力のうちなので、無能なうえに謙虚も欠如したシニアは二重に無能だ、とさえ
『先生、どうか皆の前でほめないで下さい: いい子症候群の若者たち』(金間大介著/東洋経済新報社)という本を読みました。 古代のエジプトやギリシアの遺跡や有名な哲学者の言葉にも「最近の若者ときたら……」と、人生の先達から若者の行動や風潮への嘆きがあったという話を聞いたことがあります。 医療の仕事でいえば、「いまの若い研修医は、17時の終業時間になったら帰らせなきゃいけないし、研修時からお金とか待遇にこだわるヤツが多いし……」なんて嘆きもけっこう聞くのです。 ただ、僕が研修医だった頃も、研修医仲間では「上の先生たちは面倒な仕事を若手に任せて早く帰れていいよな」と言い合っていたのも思い出すのです。 結局は時代の変化と隣の芝生は青く見える、ということなのかもしれませんが、いまの40代から50代くらいって、自分たちが若い頃には体育会系の「若いうちは。きつい仕事を進んでやるべき」という文化が色濃くて、
つい先日、「消費者は、企業の理念などどうでもよい」という話を、雨宮さんが書いていた。 たいていの一般人は買い物には「コスパ」が重要で、企業の理念になんて、これっぽっちも興味がない。 ナイキのスニーカーを買ってる人って、ナイキの企業理念に賛同して、それを本気で信じてるからなの!? ……正直、「そんなわけねーよ」って思う。 おっしゃる通りで、私はナイキのスニーカーをこれまでに何足も買っているが、ナイキの企業理念を見たことはないし、これから見ることもないだろう。 ちなみに、アップル製品も数多く所有するが、アップルの現在の企業理念も知らないし、興味もない。 私にとって重要なのは、製品の便益であって、企業理念ではないからだ。 しかし、「理念を気にして買い物をする人」は、例外的な人々だとしても、「理念」を気にするビジネスパーソンは少なくない。 なぜか。 実は、「企業理念」が、全くの役立たずなのか、と言
ただ、移住を決める前は、通えるだけ現地に通うことをおすすめします。家族で住むなら家族全員で。その地域の環境や人柄をリサーチして、デメリットもきちんと聞いて、できれば移住後もサポートしてくれる地元の人を見つけてください。田舎暮らしをしている人は、SNSで情報発信や仲間募集をしていることが多いので、そこからあたってみるのもいいですね。 田舎で暮らすための最低限の技術やノウハウも必要です。「この古民家いいな」と思って購入したら、床下がボロボロだったり、冬がものすごく寒かったり……ということはよくあります。自分で修繕できなければ業者さんにお願いすることになり、実際に暮らし始める前に貯金が飛んでいくケースも。 あとは、「田舎に行けばなんとかなる」という幻想も危険。都会ならではの息苦しさはないかもしれませんが、代わりに「自活力」や「自給力」を養わなければいけません。自分で情報を見つけたり、自分で対処し
年功序列が衰退し、年下の上司を持つことが特に珍しくない時代になった。 マンパワーグループの調査*1によれば、直近3年以内に転職した35歳から55歳の正社員の約7割に「年下の上司」がいるという。 その「年下上司」について、よく言われることの一つが、「一緒に働きづらい」だ。 調査によってばらつきがあるが、上のマンパワーグループの調査では、約3割の人が、「年下と働きづらいと感じた」とされている。また、エン・ジャパンの調査では、約6割の人が「年下と働きづらい」*2と言っている。 正直なところ、これが「年下だから」働きづらいのか、それとも、こんな価値観の人は「相手が誰だろうと、働きづらさを感じる」のか、原因を切り分けるのは難しい。 ただ、エン・ジャパンの調査におけるコメントを見ると、一定数の人が「年上ならまだ我慢できるが、年下で自分より高い地位の人と働くのは嫌」と考えているのだと読み取れる。 『若い
「文章を書くのが苦手。ライターなんて絶対にできない」 この仕事をするようになってから、何度かこう言われることがあった。 書くことが苦手な人は、どうやら結構多いらしい。 わたしは書くのが大好きな人間なので、いまいちその気持ちがわからず、なにが・なぜ・どういうふうに苦手なのか、いろいろと聞いてみた。 すると、 「なにから書けばいいかわからない」 「言いたいことをうまく文章にできない」 「とにかく時間がかかって嫌になる」 といった答えが返ってくる。 どうやらみんな、「最初から完璧に書こうとしている」ようだ。だから、「ちゃんと書けない」と投げ出してしまう。 正直、そういうのって、くだらないなーと思う。 文章なんて、好きなところから好きなように書けばいいのに。 書くのが苦手でノウハウに手を出し、さらに頭を抱える「書けない」人たち デジタル化が進み、メールやチャットなど、文章能力が求められる場面が増え
世の中には、「仮定の話ができない人」がいる。 私がそのことを初めて強く意識したのは、プロジェクトで「リスク管理」の話をしていた時だ。 リスク管理は、基本的には「仮定の話」を中心に進む。 例えば、「ここで要件が変わったらどうする」とか、「協力会社の納期遅れが発生したらどうする」とか、そういう「致命的だけど、ありえない話ではないこと」をきちんと表に出してリストにし、一つ一つ影響度などを議論するのが、リスク管理の基本だ。 しかし、このような話に対して、コミュニケーションが困難、あるいは「聞かれたことを無視」する人もいる。 例えば 「要件を変えることそのものがおかしい」とか 「協力会社の納期遅れは我々の責任ではない」とか。 まあ、たしかにそうなのだが、今はその話をすべきときではないことくらい、わかるはずだ。 また、ひどいケースになると、リスク管理が必要と認めつつ、リスクの具体的な話になると 「やる
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