[Part1]~発生から仏教伝来まで 「ひげ」と一口にいっても、厳密には「鬚(あごひげ)」、「髯(ほほひげ)」、「髭(くちひげ)」などの種類があります。 ひげは、今でこそおしゃれの要素として一般的になっていますが、かつては権威の象徴であったり、力強さを表す道具になったりもしていました。その歴史を見ていきましょう。 先史時代の人々が描いた洞窟壁画の人間の顔にひげのないものがあります。成人した男性と判る人物にひげが描かれていないということは、ひげが剃られていた(除かれていた)ということが分かります。その理由については、おそらく飲食に邪魔になっていたことや寄生虫を防ぐなどの必然に迫られたこと、さらには当時の平均寿命から考えると、ひげがあることは死に近づいたことを意味するので、それを心理的に避けるためではないかともいわれています。 ひげそりの方法については、おそらく各地で出土している石器(石刃、刃