『武士の起源を解きあかす 混血する古代、創発される中世』(桃崎有一郎 著) 武士はいつ、どこで、どのように発生したのか。武士は800年以上に亘って日本史の主役であり続けてきたにもかかわらず、驚くべきことにその謎は未だ解かれていない。若き歴史家がその謎解きに果敢に挑んだ。 「武士の発生地を地方とするか都とするかで、武士の起源についての学説は2つに大別できます。例えば、地方の荘園の富裕な農民が自衛のために武士になったという説がありますが、まったく実証されていません。また、都の貴族が国司として赴任した先で土着化したり、国司が動員した武人の中から武士が生まれたという説もありますが、史料を読むと、ある時期までの国司は赴任先でたびたび襲撃されるような無力な存在です。国司であることが武士を生み出す足場になるとは考えられません。武士の起源を今でも探究しているのは、昨年『武士の日本史』を上梓された髙橋昌明さ