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2021年2月20日のブックマーク (1件)

  • 巻25第6話 春宮大進源頼光朝臣射狐語 第六

    今昔、三条院の天皇の春宮にて御座ける時、東三条に御座けるに、寝殿の南面に春宮行(ある)かせ給ひけるに、西の透渡殿に殿上人二三人許候けり。 而る間、辰巳の方なる御堂の西の檐に、狐の出来て臥し丸びて臥せりけるに、源頼光朝臣の春宮大進に候けるに、此れは多田の満仲入道の子にて極たる兵也ければ、公も其の道に仕はせ給ひ、世にも恐れられて士1)有ける。其れが其の時に候けるに、春宮、御弓とひきめとを給ひて、「彼の辰巳の檐に有る狐射よ」と仰せ給ければ、頼光が申様、「更に否(え)射候はじ。異人は射□2)して候ふとも弊(わろ)くも候はじ。頼光に至ては、射□3)候ひなむ、限り無き恥に候ふべし。然りとて、射宛候はむに於ては、有るべき事にも候はず。若く候ひし時、自然ら鹿など罷合て、墓々しからねども射候ひしを、今は絶て然る事も仕候はねば、此の様の当物などは、今は箭の落る所も思え候はず」と申て、「暫く射事ねば、此く申さむ

    巻25第6話 春宮大進源頼光朝臣射狐語 第六