渋谷で『主戦場』を見てきた。 http://www.shusenjo.jp/ この映画は、いわゆる「従軍慰安婦」をめぐる論争を、その主要な当事者にインタヴューしながら、ていねいにたどっていくドキュメントである。あくまでも言論とそのアリーナを信じる点で、いかにもアメリカらしいということができる。 我が国の監督だったら、このような問題では、対立する両陣営があまりにもかけ離れているから、水掛け論になるのは見えているとばかり、早々と「議論」は諦めてしまうだろう。かくて初めからどちらかの陣営のプロパガンダとなり、その結論を説得しようとして、過剰な感情に訴えることになる。そのような態度が初めから顕わだと、対立する陣営は警戒して、率直なインタヴューなどには応じないのが普通だ。ところが、ミキ・デザキ監督は我々から見るとどこまでもタフで、平気で中心部に切り込む。たやすくシニシズムに流れる我が国の政治風土とは