「会社のファミリーフレンドリー制度が充実していても利用しない人がいるのはなぜか」という問いから「家庭とはなにか?」「仕事とはなにか?」という根源的な問いを掘り下げていった、ホックシールド『タイムバインド』。この解説を社会学者の筒井淳也さんに書いていただきました。これを読めば、これらの問いが持つ意味が深まります。 「はじめに」の終わりの方で、著者のホックシールドは「家庭とは何か?」「仕事とは何か?」という問いを投げかけている。たしかに本書は、ワーク・ライフ・バランスについてのみならず、この根本的な問いについて考える上で示唆的なエピソードをたくさん含んでいる。解説の場を借りて、この問いを追求してみたい。 本書では、著者であるホックシールドが「アメルコ」社員の生活を観察する中で見出した、ある重要な謎(パズル)が提示される。そのパズルとは、「会社のファミリーフレンドリー制度が充実していても、利用し