順風満帆だけど、心に穴が 人の悩みには、傍から見てわかりやすいものもあれば、「わかりにくい」ものもある。順調に人生を送っているような人ほど、そうした見えにくい思いを抱えていたりする。 Vさんはまさに、そんな1人だろう。新卒で入社以来勤めているメーカーでは、数少ない女性管理職だ。順当にいけば、さらに上にいくだろう。それは、本人も自覚している。 総合職で入社した頃は、まだまだ典型的な男社会だった。消費財のメーカーで、主たるターゲットは女性だったが要職に登用される人は少ない。しかし、30歳を過ぎた頃に転機が訪れた。 バブル崩壊後の後遺症が抜けず、経営自体が荒波にもまれた。外部から資本を注入し、併せて社長を外から迎え、大規模なリストラも行われた。いろいろと大変だったが、Vさんの世代は結果的には陽の当たる場所に出ることになったのだ。 彼女は宣伝やマーケティングの仕事を担当していたが、チャンスが来た。