もう誰か決めてよお、わたしに向いてる仕事、勝手に決めてくれていいから、すごいAIとかが決めてくれたら、その仕事、大人しくやるからさあ。彼女はそう言い、みんなが笑った。私はあんまり笑えずに、いやいやいや、と冗談めかして発言した。それ地獄だから、SF映画とかでさんざん描かれてきた人類最悪の未来だから。 ぜんぜん最悪じゃないしわたしには最高ですよ。彼女はそう言う。私の半分弱の年齢の大学生である。私は母校に依頼され、卒業生として学生たちの就職相談に乗った。母校の企画の趣旨により、その場にいるのは女子学生と女の卒業生ばかりだった。終わってから非公式のお茶会に流れて、出てきたせりふが「誰か仕事決めてほしい」。就職活動に疲れたのはわかったけれども、その発想はないだろう、と思う。 人生は自由を勝ち取る戦いの連続であり、職業選択の自由なんて自由のなかでもいちばん基本的なやつだ。誰かに職を決めつけられるくらい