大規模言語モデル(LLM)をはじめとするAI(人工知能)モデルの覇権争いで米OpenAI(オープンAI)や米Google(グーグル)などの米国企業がトップ争いを繰り広げる中、日本勢による「日の丸LLM」の開発競争も激しくなってきた。背景の1つは「経済安全保障」だ。 グローバル社会の中で、モノやサービスをつくるためのサプライチェーンが複雑化し、その網は今や世界中に広がる。有事や地政学的な問題が勃発すれば、サプライチェーン上のリスクも顕在化し、日本国内での製品やサービスの提供が危ぶまれる事態となる。こうした経済面の脅威に備えるのが経済安全保障の考え方だ。 LLMの開発や、開発のための計算資源を日本国内に自前で確保することが、生成AI分野での安全保障につながる。自民党は2023年5月に「AI新時代における日本の国家戦略」を提言。国内におけるAI開発の重要性を主張した。経団連も同年6月に政策提言を