海底の砂を採取するダイバー。水深40メートルに着底するとヘドロが舞い上がった(佐賀県唐津市沖で)=板山康成撮影 佐賀県唐津市沖の玄界灘の海底がヘドロ状に変わりつつある。 生き物が姿を消し、アジの巻き網漁船は出漁をやめた。同じ海域でコンクリートの材料となる海砂が採取されており、一部の漁師らは採取が原因として中止を訴えている。この海域での採取と環境異変の因果関係は不明だが、県の調査でも唐津沖で大量の砂が消失したことが判明している。唐津の海に詳しい地元ダイバーに同行して海底の様子を探った。(森太、玉城夏子) ◆「まるでクレーター」◆ 灰色の粘土質の塊がねっとりと手にまとわりつく。海底40メートルからボートに引き揚げられたその塊は、砂ではなくヘドロだった。 「海底は月のクレーターのようにでこぼこで貝殻が散乱している。海底にスコップを突き刺すとヘドロが煙のように舞う。自然の浄化作用の限度を超えている