「コロナ禍に作品を作るエネルギーなんてありません。もうね、いやいや描いてますよ。嫌だな嫌だなと思いながら、絵を描いてるんです。これまでたくさんの作品を作ってきましたが、自分でいちばん好きな作品は、近作。嫌で嫌で仕方なく描いた絵ですね」 横尾忠則さんの大規模展が始まった。600点を超える膨大な作品に向き合うと、その饒舌さに圧倒される 横尾忠則さんの大規模展が、東京都現代美術館で始まった。横尾さんは1960年代からつねに、本当に、日本と世界のアートの「第一線」で活躍してきた。 「ぼくは、子どものころから絵を描いてきたんです。最初は模写でした。今ある最も古い作品は、5歳のときに描いた『武蔵と小次郎』。これは、講談社の絵本『宮本武蔵』の挿絵を書き写したものです。以来、ずっと描いてきました。いつプロになったかわからない」 85歳の横尾さんは、「GENKYO」展開催にあたって開かれた会見でこんなふうに