日本映画大学(川崎市麻生区、佐藤忠男学長)が教授らに「学内で一切の政治活動を行わない」とする誓約書への署名を求めていた問題。表現の最先端を学ぶ教育機関であるだけに、現場の映画関係者にも「表現を規制するのか」との当惑が広がった。折しも、政権与党である自民党の憲法改正草案は「表現の自由」の制約とも取れる内容を盛り込む。「堤防が崩れる蟻の一穴にならないか」という懸念の声が、学識者からも上がっている。 大学によると、誓約書は前身の日本映画学校時代から継承されているという。「政治活動とは、特定の政治団体や宗教団体の考え方を学内に持ち込まないとの趣旨。教育現場の表現の自由を妨げるものではない」と話している。 だが、現場の受け止め方はそれとは異なる。東京在住の映画関係者は「政治がねじ曲げたものを、元に戻すのが映画」と、映画が元来持つ“政治性”を強調する。「大学には表現者を育てる自覚があるのか。内部か