【森本俊司】金沢21世紀美術館(金沢市、21美)が2年前、カビを好み文化財に被害を与える害虫が発生していたにもかかわらず、奈良・薬師寺の国宝展を誘致していたことがわかった。「国宝を危険にさらす」と文化庁が難色を示し実現しなかったが、害虫は今も根絶できていない。 21美によると、2011年8月にいくつかの展示室でチャタテムシが見つかった。収蔵庫では別の害虫が見つかった。チャタテムシは体長1ミリ前後。紙やカビを食べ、湿気やカビによる展示環境の悪化を示すとされる。 21美は外部に公表しないまま、11年秋、薬師寺の国宝東塔(とうとう)解体を機に「国宝の仏像などを薬師寺から借り、現代美術と一緒に出陳したい」と文化庁に打診した。