人生には乗り越えるべき壁があると言う人は、自分で壁を作っているだけだ。自分の為に一生懸命に壁を作り、またある時は他人の為にせっせと精を出して壁を作る。彼ら壁作りに精通した人達は、自らで精魂込めて作り上げた立派な壁を指さして、「ほら、乗り越えるべき壁だ!」と誇らしげに言うのである。人生には壁など無い。誰かが壁を作らぬ限り、強いては自分で壁を作らぬ限り、壁なんてない。世界には壁を作るのが大好きな人が大勢居て、道行く人に声をかけては、懇切丁寧に壁の作り方を教えてくれる。連中は見知らぬ誰かを壁職人に仕立て上げようと、そのチャンスを探し続けている。壁を作る事は彼らの誇りであり、壁を作ることは彼らの生き甲斐なのだ。しかし、壁など無い。本来人生には壁など無い。人生とは、乗り越える場所など存在しない、どこまでもなだらかに続く地平である。 そこを歩き続ける気力と体力さえあれば、どこにでも行ける。どこまでも行