9月25日に発足した官民ファンド「産業革新投資機構(JIC)」の経営陣の報酬額で所管する経済産業省(経産省)と田中正明社長らとの間でもめています。この出来事から「単純ないきさつ」と「複雑な背景」双方をうかがえます。「サクッと読みたい」方は前半の「単純……」だけで読み飛ばして下さい。「複雑……」はバブル崩壊以降の前世紀末までさかのぼってみます。 「怒るのもわかる」という単純ないきさつ 田中社長ら新経営陣は発足前の9月21日、経産省から報酬案を示されました。固定報酬1550万円に加え業績連動報酬(いわゆる成功報酬)1億1000万円という内容です。機構側は11月末に経産省提示案とほぼ同額を同省へ届け出ました。 ところが最初の報酬案が明らかになってから政府内で「高すぎる」批判が噴出。嶋田隆事務次官が田中氏に陳謝した上で減額の意向を表明して田中氏が立腹します。機構が出した当初案に基づく申請を経産省は