寄り切りで朝青龍を下した白鵬。朝青龍が土俵を割ったことに気づかず、上手投げを決めた=東京・両国国技館(撮影・今井正人) 立ち合いで左上手を取った朝青龍が、そこから休まない。白鵬との優勝決定戦。上手投げで崩して寄り立てると、なおも攻めて最後は右からのすくい投げで裏返し。「力を出し切ったよ。もうないよ」。死力を尽くして取り戻した賜杯だった。 初場所の再現だった。初場所同様に本割で白鵬に一方的に敗れても、優勝決定戦までのわずかな時間で軌道修正。「本割の立ち合いは見ているだけだった。次も立ち合いが勝負。低く当たっていったよ」と持ち前の集中力を発揮した。 29歳の誕生日を祝う優勝は格別で、「最高の誕生日じゃないですか」。左ひじが完治しない中、場所前には右ひざも負傷した。「けがだらけで、本当にぎりぎりまできていた」。優勝から遠のき、近い関係者には弱音をこぼすこともあった。