世界陸上男子100メートルで世界新記録となる9秒58をたたき出したウサイン・ボルト(ジャマイカ)。人類初の9秒5台というこの快挙に、専門家からも「規格外」との声が上がった。 100メートルの記録について、世界記録の変遷などを集計して「2050年までに9秒55」と予測していたのはバイオメカニクスを専門とする早稲田大学人間科学部の鈴木秀次教授。今回で残り0秒03にまで迫られた鈴木教授は「今回のレースは追い風0・9メートル。もし公認ぎりぎりの追い風2メートルだったら9秒55は出ていたでしょう」と話す。今回の世界新は、歴史の流れを40年も早める快挙だった。 鈴木教授は世界記録更新の条件として、(1)瞬発力が高い速筋の割合が多い(2)小柄な体格(3)動物的本能で無心で走る、の3点を挙げていた。196センチ、86キロのボルトの出現は(2)の条件を覆すものとなったが、鈴木教授は(3)を重く見る。 「空気