このご時世、水物の本業だけで生きていくのは大変だ。 まあ、衣食住だけでいいのなら何とかやっていける。 しかし、それだけで生きていけないのが現代人の贅沢な悩みだ。 そうして始めたスーパーのアルバイトも、板についてかれこれ数ヶ月が経つ。 慣れてくると余裕も出てきて、その余裕は欲へと変換される。 これは先日、店長に時給を上げてもらうよう交渉してみることにした話。 昼休み、店長が暇そうなタイミングを見計らい、話しかける。 「店長、ちょっといいですか」 僕の怪しい敬語も、開き直ってからだいぶ板についてきたものだ。 「ああ、何や」 店長は弁当を食べながら休憩をとっていた。 店長の手作りなのか、それとも嫁さんが不器用なのかは分からないが、無骨な弁当だったことは覚えている。 もちろん、店長の弁当はどうでもいい。 僕が店長に話しかけたのは時給を上げてもらうためで、弁当の中身を覗くためではない。 遠まわしに、