ビニールを敷いたテーブルにべったりと横たわったコウイカは、私が今まで見たどのコウイカよりも大きかった。 1キロ…いや2キロ近くあるかもしれない立派な身体。内臓も大きいに違いない。まだ死んで1日と少し、鮮度も良い。 これはぜひ解剖したい。私がこの手で。 しかしこれはイカパーティーのイベントの一つである。こんなに素晴らしい役に、主催者側である私がしゃしゃり出るわけにはいかない。「どなたか解剖したい方はいませんか」。全く心がこもっていない私の呼びかけに応じる人は残念ながら、いや、幸いにも誰もいなかった。仕方なく、あくまで仕方なくその役をやるのだという顔をして「では、私が」と包丁を手に取る。 これからこのイカに刃を入れる、それをするのは他の誰でもない私だという事実に、身体中の血が沸くようだった。気持ちがあまりに高まりすぎて、外側の観察もろくにしないうちに気づけば腹側から包丁を入れていた。 あらかじ