アベノマスクにこだわり続けた安倍晋三元首相。2020年8月1日に突如着用をやめる(写真:つのだよしお/アフロ) 大阪地裁806号法廷の被告席は2列になっていて、その女性は後列に座っていた。 国が被告となる裁判の場合、原告や裁判長とのやりとりは前列に位置する訟務検事が担当する。背後に座る指定代理人が意見を述べることはほとんどない。 異変が起こったのは厚労省・元課長が原告の弁護士より際どい質問を投げかけられた時である。 彼女は声を殺して泣き崩れたのだ。その後も、大粒の涙をぬぐったり、天を仰ぐといった行為を何度も繰り返す。 一体、なにが起こったのか? 第2次アベノマスク裁判の証人尋問は、8月22日と10月15日の二度にわたって行われた。まず8月22日に行われた質疑の模様をレポートする。 全世帯向け布マスク配布事業の公文書がない新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが日本にも押し寄せてきていた