米金融当局は高水準のインフレを引き下げることに、これまでのところあまり成功していない。だが、その金融引き締め策は、新型コロナ禍で膨張した資産バブルの縮小に大きな効果を発揮している。 暗号資産(仮想通貨)市場は一時、時価総額が3兆ドル(約410兆円)に上っていたが、今では3分の2以上縮小した。投資家が好むテクノロジー株は50%余り下落し、高騰していた住宅価格はこの10年で初めて下げている。 最も重要かつ意外なのは、これら全てが金融システムに大打撃を与えることなく起きていることだ。 ハーバード大学教授のジェレミー・スタイン氏は「驚くべきことだ」とし、「1年前に『0.75ポイントの利上げが何度も行われることになる』と言ったら、『頭がおかしいんじゃないか。金融システムを壊してしまう』という話になっていただろう」と述べた。同氏は2012年から14年に、米連邦準備制度理事会(FRB)理事として金融安定