3月14日に76歳で亡くなったイギリスの物理学者スティーブン・ホーキングは、1942年1月8日に生まれた。ホーキングはしばしば、この日は近代科学の創始者のひとりガリレオ・ガリレイのちょうど300年後の命日だったと、いかにも運命的な巡り合わせのように語りつつ、《もっとも、私の推定ではその日にはだいたい二〇万人の赤ん坊が生まれているはずですが》とジョークを飛ばしたという(『ホーキング、ブラックホールを語る BBCリース講義』佐藤勝彦監修・塩原通緒訳、早川書房)。 「私の当初の狙いは、空港の本屋で売られるような本を書くことだった」 ホーキングは、ブラックホールの研究などで数々の業績を残した。その活動の範囲はアカデミズムの枠を越え、テレビに出演したり、宇宙の誕生について一般向けに書いた『ホーキング、宇宙を語る』(1988年/邦訳は1989年)が世界的なベストセラーになったりもした。この本について、