安全保障法制の国会審議を通じて、自衛隊が海外で武力行使する根拠が、国民に非公開になる懸念が一層強まった。 安保法制に盛り込まれた集団的自衛権の行使に関する情報を公開すると、対米関係などに悪影響があると判断すれば、政府は特定秘密に指定し、国民の目から隠すことができる。政府は安保法制と特定秘密保護法を一体的に運用していく方針だ。
国のあり方を大きく変える安全保障関連法案が成立する。十八日、国会の外で平和国家のままであり続けることを願う人たちの声が響く中、政府、与党は法案成立へと突き進んだ。新しい安保法制は自衛隊を変質させ、隊員が「殺し、殺される」ことが現実味を帯びてくるが、「戦場」に立たされる隊員を守るための議論は不十分なままだ。 陸上自衛隊に勤務する四十代のある男性隊員は今年五月、自宅で娘とテレビを見ていた。法案審議のニュースが流れると、娘がポロリと口にした。「お父さん、死ぬでしょ」。妻は「(海外派遣要員として)行けと言われたら、辞めてもいいよ」と言った。 「衣食住はタダ。教育期間が終われば土日も夜も自由」。甘い言葉で勧誘され、高校卒業後に入隊した。基本は災害派遣が仕事という認識だった。「法案に基づく海外派遣の覚悟なんてない。隊員の間でリアリティーを持った話題になっていない」
国民多数の反対にもかかわらず、安全保障法制関連法案の八月成立を前提に、自衛隊の活動範囲拡大まで検討するのは行き過ぎだ。実力組織の「暴走」が許されないのは先の大戦の教訓ではないか。 きのう再開された参院特別委で野党側が追及したのが、陸海空三自衛隊を束ねる統合幕僚監部が五月下旬、安保法案の内容を部内に周知させるテレビ会議用に作成した資料だ。八月の成立を前提に、法改正後の変更点などを記している。 特に問題視されたのは、南シナ海での「情報収集、警戒監視および偵察」への関与の在り方を検討するとしていることと、南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に当たっている自衛隊の業務に、離れた場所で襲撃された他国部隊などを助ける「駆け付け警護」を追加する可能性に言及したことだ。
米軍横田基地に着陸するオスプレイ=19日午前9時17分、東京都羽村市上空で、本社ヘリ「あさづる」から(平野皓士朗撮影) 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)に所属する垂直離着陸輸送機オスプレイ二機が十九日午前、横田基地(東京都福生市など)に飛来した。札幌市で開かれる航空イベントに向かう途中の給油が目的で、東京都内への飛来は初めて。安全性への懸念から地元自治体は飛来しないよう求めており、基地周辺では市民団体などが抗議活動を繰り広げた。 二機は十八日に普天間を出発し、経由地の岩国基地(山口県岩国市)に駐機。十九日朝に岩国をたち、午前九時すぎに横田へ相次いで着陸した。給油を終えた後、陸上自衛隊丘珠(おかだま)駐屯地(札幌市)へ向かった。 航空イベントは航空会社や民間企業でつくる北海道航空協会が二十日に開き、オスプレイ二機を地上展示する。二十一日には札幌を離れ、給油目的で横田へ再飛来し、
東京都教育委員会は十日の定例会で、都立大島高校(大島町)の二年生三十三人が十一月二十六~二十八日に、陸上自衛隊武山駐屯地(神奈川県横須賀市)で二泊三日の宿泊防災訓練をすると明らかにした。自衛隊施設での防災訓練は二〇一三年度に田無工高(西東京市)が都立高で初めて行い、一部の教員や市民団体などから「自衛隊のPRや愛国心教育に使われないか」などと反対の声が出た。 昨年十月に土石流災害があった大島町は、復興計画に防災教育の充実を盛り込む予定。大島高の大塚健一校長は「災害の多い大島で生徒が生きていく上で、必要な防災知識や技術を自衛隊から得たい」と説明。都教委は「生徒が集中できる環境を整える」との理由で、昨年に続き訓練を非公開で実施する。 田無工高の生徒は陸上自衛隊朝霞駐屯地(練馬区)や江東区の都施設に宿泊し、隊員から簡易担架作りや救急搬送法などを習った。都教委の担当者は「隊員から被災地での支援活動を
第4次厚木騒音訴訟の判決で、「差止め 勝訴」などと書かれた垂れ幕を掲げる弁護士と喜ぶ原告団ら=21日午後2時6分、横浜地裁前 米軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地(神奈川県)の騒音被害をめぐり、周辺住民約7千人が国に夜間・早朝の飛行差し止めなどを求めた第4次厚木基地騒音訴訟の判決で、横浜地裁の佐村浩之裁判長は21日、自衛隊機の毎日午後10時から翌日午前6時までの飛行差し止めを命じた。住民の睡眠妨害が「健康被害に直接結び付く相当深刻な被害」と認定した。 全国の基地騒音訴訟で飛行差し止め命令は初めて。米軍機への請求は退けた。損害賠償は国に総額約70億円の支払いを命じた。法務省によると、同種の基地騒音訴訟では過去最高額。
栃木県益子(ましこ)町の陶芸家、大和(やまと)知子さん(62)が、低レベル放射性廃棄物を収納するドラム缶を模した陶器の湯飲み茶わんを販売している。「原発が、核のごみを生み出すことを忘れないで」と訴えようと一年前に製作したが、これまで売れたのはたった十五個。受け入れ先がない現実の核のごみ問題を象徴するかのようで、大和さんは脱原発への思いを新たにしている。 (石井紀代美) 大和さんは宮城県出身で、四十年以上前に益子町で陶芸を始めた。チェルノブイリ原発事故で原発の危険性に関心を持ち始め、青森県六ケ所村の核燃料サイクル関連施設で座り込みをしたことも。東京電力福島第一原発事故後、宇都宮市での脱原発デモに参加する一方、芸術家として「自分のやり方で表現しないといけない」と感じるようになった。
サッカーのサポーターってどこか怖そう-。3月に起きたJリーグ浦和レッズの「差別的横断幕」の問題は、そんなイメージも広げてしまった。しかし、本当にそうだろうか。26日、J2ジェフ市原・千葉のカマタマーレ讃岐戦を観戦。サポーターとともに声援を送り「応援の流儀」を聞いた。 (内田淳二) 「地元のチームだからみてみよう。そんな軽い気持ちでいいんですよ」。ジェフのホーム・フクダ電子アリーナ(千葉市中央区)。サポーター団体「市原粋犬会」代表の大木桂一さんがまず緊張を解きほぐしてくれた。 浦和は「JAPANESE ONLY」と横断幕を掲げ社会問題化した。粋犬会の男性(37)は「レッズサポーターの大半はそういう人じゃない。でも一般には『サポーター=怖い』と見える。それがとても残念」と嘆く。
政府は10日、殺人など重要犯罪で実行行為がなくても謀議に加われば処罰対象となる「共謀罪」創設を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を来年の通常国会に提出する方向で検討に入った。政府関係者が明らかにした。 共謀罪が広く適用されれば、国による監視が強化される恐れがある。機密漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法に続く国権強化の動きといえる。秘密法成立で言論・情報統制が強まる不安が広がっているだけに、論議を呼ぶのは確実だ。 政府は、2020年の東京五輪開催に向けてテロ対策の必要性が高まったと判断している。
安倍晋三首相のインターネット上の会員制サイト「フェイスブック」に「異変」が起きている。これまで首相の投稿に対する利用者のコメント(返信)は好意的な内容が目立ったが、一日に首相が消費税率引き上げを決定した際は一時、批判が殺到した。 首相がフェイスブックを積極的に活用し始めたのは、ネット選挙運動が解禁された参院選前の六月半ば。外遊の様子などを写真付きで紹介するなど、ほぼ毎日更新し投稿してきた。 投稿には、サイト利用者ならだれでもコメントを書き込める。参院選の自民大勝や東京五輪招致の成功など、政権にとっては吉報が続き、コメント欄にも「強い日本の立て直しを期待します」などと好意的な言葉が相次いで寄せられた。
米空軍の演習「レッド・フラッグ・アラスカ(RFA)」で、航空自衛隊のF15戦闘機の編隊が米戦略爆撃機B52の爆撃援護訓練に参加していたことが分かった。航空幕僚監部(空幕)広報室は訓練の事実はないと否定しているが、空幕発行の部内誌に載った参加隊員の体験記から判明した。専門家らは、憲法で禁じられた集団的自衛権の行使を想定した訓練だと批判している。 ◆部内誌に体験記 12年7月号 空自部隊は一九九六年度から米アラスカ州での米空軍演習に参加しており、F15戦闘機は二〇〇三年度から派遣されている。 本紙が入手した空自の月刊部内誌「飛行と安全」一二年七月号には、同演習での攻勢対航空(敵航空基地攻撃)訓練中、空自F15編隊がB52による爆撃を想定し、「果敢に先陣を切って経路を啓開し、粘り強く戦闘を継続してB52を援護」したという隊員の体験記が掲載されていた。 空幕広報室は本紙の取材に、同内容の訓練は事実
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く