今年の前半くらいのことだろうか、「世界の終わり」をテーマとしたノンフィクションが非常に目についた。人類は人工知能に負かされるというもの、絶滅期がすでに進行しているというもの、テクノロジーを扱う人間側の問題として滅亡を予測するもの。いずれにしても悲観的な論調が多かったことを記憶している。これは多くの人がテクノロジーに対して希望を抱かなくなったことの証左なのかもしれない。 そんな中でも、少なからずテクノロジーに対する大きな期待を抱かせてくれる人物は存在する。その代表格が、スペースXとテスラモーターズを率いて、電気自動車・太陽光発電・宇宙ロケットといった壮大な夢をぶち上げる男、イーロン・マスクだ。本書はイーロン・マスクによって公式に認められた、初の評伝である。 波瀾万丈という言葉が似つかわしい彼から、いよいよ目が離せなくなったのは2012年初めのこと。リーマン・ショックの後には、もはや終わりかと