6月12日、昼食前に並んで散策するドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金大恩委員長(写真:ロイターアフロ) 歴史的であるはずの米朝首脳会談の評価が割れている。朝鮮半島の完全な非核化では合意したが、そのプロセスが依然、不透明であるからだ。世界に「核保有の優位」があるかぎり、北朝鮮は簡単には核放棄せず、「弱者の恫喝」に戻るという疑念が払しょくできないからでもある。 米朝協議を通じて非核化へのプロセスを確かにするのは当然だが、それだけではすまない。「核兵器なき世界」への道に踏み出して初めて朝鮮半島の非核化は実現する。とりわけ朝鮮戦争の終結にかかわる米ロ中には徹底した核軍縮が求められる。米朝合意を「核兵器なき世界」にどうつなげるか、唯一の被爆国である日本の役割は決定的に重要である。 緊張は緩和されたが 米朝首脳会談は、「弱者の恫喝」と「強者の恫喝」が対峙するなかで実現した。トランプ米大統領と北朝鮮