曾野綾子が産経新聞のコラムに掲げた「アパルトヘイト支持」発言について、海外のメディアはこれを大きく取り上げない日本の主要メディアと政府の不誠実さに対してつよい懸念を抱いている。 一人の人間が人種差別的な思想の持ち主であることは、その想念がその人の脳内にとどまる限り咎めることはできないし、咎めるべきでもない。けれども、それを公開するときは、それが伴う「社会的責任」がどのようなものかを意識する必要がある。大人なら、誰でもそうしている。 曾野綾子の知性が不調なのは、彼女の個人的信念が世界標準では「許されない非人道的なもの」として認定されているという「事実」を勘定に入れることを怠った点にある。 そして、さらに問題なのは、このように低調な知性の持ち主に定期的なコラムを掲載していた新聞が存在し、そのような人物を教育政策の諮問機関に「有識者」として登用してきた政府が存在するという事実の方である。 個人の