スギの学術名はクリプトメリアヤポニカである。ヤポニカは日本を意味するラテン語である。スギは日本固有の植物なのだ。分布域は、青森から屋久島まで日本列島に広く分布する。そのため、北海道と沖縄にはスギ林が少なく花粉症のひどい症状が出ることはない。 スギは古来より、建築資材として重用された。 スギの植林は江戸時代から行われていた。戦後になると、焼け野原となった都市を再建するために多くの木材が必要となった。そこで国策として拡大造林計画が推進され、各地にスギが植えられた。現在、日本の森林のうち40%ほどが人工林であるが、そのうち43%がスギ林となっている。それほど需要のある木材であったのだ。だが、大量にスギが植えられているのに花粉症が存在しなかったのはなぜか。 実は、スギ花粉というのは、樹齢30年ごろから飛散を始める。戦後に植えられたスギが切り取られる時期は、日本は高度経済成長期となっていた。建築技法