お知らせ この回の内容は、『反社会学講座』(ちくま文庫版)で加筆修正されています。引用などをする際は、できるだけ文庫版を参照してください。 ●スーペーさんとローマ帝国少子滅亡説 歴史とは起こった出来事ではない。歴史とは歴史家がわれわれに語る話にすぎない。 ――ジュリアン・バーンズ『10 1/2章で書かれた世界の歴史』 いえいえ、歴史家だけではありません。こどもの数が少々減ったことを「少子化問題」と名づけて過剰に騒ぎ立てている超悲観主義者のみなさんも、実際に起こったかどうか確証のない歴史をわれわれに語ってくれます。彼らの好きな歴史小話は、「ローマ帝国は少子化が原因で滅んだ」というものです。 悲観主義者というのは、ひきょうなんです。悪いことが起こるぞぉ、さあ困った大変だ、と警鐘を鳴らしておけば、もし実際に悪い結果になった場合、「ホラ、いわんこっちゃない」と自分の先見の明を鼻にかけることができま