増田は「百万回生きたねこ」を知らないのかな? 僕の友達は、もう20歳にもなる老猫を飼っていたんだ。その猫は、毛もバサバサで体もボロボロ。歩くのもヨタ付くくらいで、目も良く見えていない様子だった。 しかし、それでも夜になると、飼い主である友人の枕元に訪れ、「お布団に入れてください」とせがむような猫であった。 その猫がある日目を覚ましたかと思うと、か細い声で精一杯に友人を呼んだ。 どうしたのかと慌てた友人に、猫は力一杯のジャンプでひざの上に乗り、抱っこをせがんだ。 そのとき友人は悟った。これが猫との最後の別れとなるだろうことを。 友人は、猫を優しく抱きしめると、腕の中で丸くなる猫の動画をスマートフォンのカメラで撮影した。 力いっぱいに尻尾を振る猫。しかし、その力もだんだんと弱まっていき―― しばらくすると、ついに猫は動かなくなった。急速に失われていく猫のぬくもり。 ――友人の猫は、友人より一足