カップ酒と聞いて、どんなイメージを思い浮かべるだろう? 「オジサンが新幹線の中で飲んでるお酒」「なんか古臭い。ビールの方がサマになるよ」「安い日本酒でしょ」…若い人からはそんな声が聞こえてきそうだ。けれど、当のオジサンが抱くイメージはちょっと違う。50~60歳前後の中年層にとって、カップ酒は若者が飲むカッコイイ日本酒だったのだ。この世代から見れば、自分たちの父親世代の方がずっとオジサンぽく日本酒を飲んでいた。一升瓶からコップに注いで飲んだり、お猪口やぐい呑みを使ってちびちびと飲んだり。 カップ酒は、そんな飲み方しか考えられなかった頃に現れた“日本酒の一大革命”だった。革命を起こしたのは、兵庫県西宮市に本社を置く酒造メーカー、大関。1964(昭和39)年に発売した1合コップ入り清酒「ワンカップ大関」が、日本酒の歴史を変えたのである。 日本経済が急伸長した1960年代。自動車、カラーテレビ、レ