第6代米大統領ジョン・クインシー・アダムズは「アメリカは倒すべき怪物を探しに海外へ行ったりしない」と述べ、国外での軍事介入を強く戒めた。戦乱に明け暮れる欧州の教訓からだ。しかし戒めを忘れた米国は自業自得の苦境に陥る。 本書は、米国の介入が海外の政治情勢を悪化させ、自身を泥沼に陥れた諸事実を描く。中東では、イランの石油産業を国有化したモサッデグ政権を、1953年に米中央情報局(CIA)が中心になり打倒したが、誕生したのはパフラヴィー独裁体制だった。 南米のチリでも米国は、1973年にアジェンデ政権を倒したが、ここでもピノチェトの軍部独裁政権をもたらす。1980年以降、2014年のシリアまで14のイスラムの国を軍事攻撃するが、いずれも著しく安定を失うだけに終わる。