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ブックマーク / honz.jp (5)

  • 『アルツハイマー征服』連帯が連帯を生む、絶望の中の希望の物語 - HONZ

    現在、全世界で約5000万人の患者とその家族が苦しんでいるアルツハイマー病は、完全に治す方法がないことで知られている。高齢化が進む日で、今後アルツハイマー病による認知症がさまざまな課題を発生させていくことは想像に難くない。 しかしこの病に関する研究が進み、現在では治療への大きな希望が見えてきているのだという。書はそんなアルツハイマーという病の征服に挑んだ人々の挑戦記だ。 青森に住む、ある家族の話から書は始まる。その一族は、長身の美男美女が多い家系でよく繁栄したが、なぜか40代、50代になると、認知症を発症する者が多かった。患者の死後に解剖すると、通常はみっしりと折り重なり隙間などないはずの大脳が、くるみのようになり、脳溝がすかすかに広がっていたという。 ここから話は一気に、アルツハイマー病の正体を突き止めようとする人たちの壮大なバトンリレーへ転じる。ある人は利他的な気持ちから克服の道

    『アルツハイマー征服』連帯が連帯を生む、絶望の中の希望の物語 - HONZ
    natuboshi
    natuboshi 2021/02/06
  • 『サカナとヤクザ』ニッポンの食卓を支える、魑魅魍魎の世界 - HONZ

    裏社会のノンフィクションはこれまで何冊も読んできたが、最も面白みを感じるのは無秩序のように思える裏社会が、表社会とシンメトリーな構造を描いていることに気付かされた時だ。 しかしここ数年は暴対法による排除が進み、ヤクザの困窮ぶりを伝える内容のものばかり。相似形どころか、このまま絶滅へ向かっていくのかとばかりに思っていた。だから彼らがこんなにも身近なところで、表社会とがっちりスクラムを組んでいるとは思いもよらなかったのである。 書は、これまでに数々の裏社会ノンフィクションを描いてきた鈴木智彦氏が、サカナとヤクザの切っても切れない関係を、足掛け5年に及ぶ現場取材によって描き出した一冊だ。 これまでなぜか語られることのなかった品業界最大のタブーを真正面から取り上げながら、一ミリの正義感も感じさせないのが、著者の真骨頂である。そして、もはやヤクザの世界に精通していなければ読み解けないほど、サカナ

    『サカナとヤクザ』ニッポンの食卓を支える、魑魅魍魎の世界 - HONZ
    natuboshi
    natuboshi 2018/10/04
  • 『生存する意識──植物状態の患者と対話する』 グレイ・ゾーンに閉じ込められた意識と、それを発見し、それと意思疎通する科学 - HONZ

    『生存する意識──植物状態の患者と対話する』 グレイ・ゾーンに閉じ込められた意識と、それを発見し、それと意思疎通する科学 植物状態と診断されながらも、じつは意識がある人たち。そうと示すことがまったくできなくても、たしかな認識能力を持ち、どうしようもない孤立感や痛みを感じている人たち。そうした人たちが置かれている状況を想像し、悪夢とも思えるその可能性に身震いしてしまった経験が、おそらくあなたにもあるのではないだろうか。だが現在の科学は、その可能性を前にしてただ震えているばかりではない。誰かが現にそうした状況にあるかどうかは、なんと科学的に検証できるようになりつつあるのだ。 書の著者エイドリアン・オーウェンは、その科学を「グレイ・ゾーンの科学」と呼ぶ。グレイ・ゾーンとは、おもに植物状態と診断されている患者の、「物事を満足に認識できないが、認識能力を完全には失っていない」状態である。そしてオー

    『生存する意識──植物状態の患者と対話する』 グレイ・ゾーンに閉じ込められた意識と、それを発見し、それと意思疎通する科学 - HONZ
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    natuboshi 2018/09/20
    読んでみたい。
  • 『死にゆく患者と、どう話すか」医師・看護師のための超・実践的コミュニケーション論 - HONZ

    昨年の初夏、父が亡くなった。ある日、突然動けなくなり末期の肺がんだと診断された。担当医師は「夏を越えるくらいまで」という。告知をどうするか、私たち家族は悩んだ。 書は日赤医療センターで、進行がん、特に肺がんの治療を専門とする國頭英夫医師が、日赤十字看護大学の1年生に行ったコミュニケーション論の講義録である。 看護師を目指してこの大学に入ったとはいえ、ついこの間まで高校生の素人に何を教えたらいいかと悩んでいた著者だが、このゼミを選んだ学生13人は真剣だった。幼いなりに、世の中を知らないなりに必死に課題にくらいついていく。その過程は正直、涙ぐむほどがむしゃらだ。医学生にさえこんなに真剣に聞いてもらうことはなかったそうだ。 がんの治療は日々進歩しているが、國頭氏の担当する進行がんは、ほぼ亡くなる病気である。不安を抱えながら闘病している患者を、医師も看護師も見放すことはできない。 「死んでいく

    『死にゆく患者と、どう話すか」医師・看護師のための超・実践的コミュニケーション論 - HONZ
    natuboshi
    natuboshi 2017/02/06
  • 『ルポ 居所不明児童』 消えた2万4000人の子どもたち - HONZ

    383人。 2014年の所在が分からない小学生と中学生の数だ。文部科学省では「居所不明児童」と呼び、居場所もわからず、就学の確認もできない子どもを指す。 昨年厚木市で男児の白骨化遺体が発見された事件で「居所不明児童」が突如、メディアをにぎわすようになったが、文部科学省が「居所不明児童」の調査を始めたのは1961年。50年以上たつのだ。 著者が文部科学省の学校基調査を洗い出しただけで居場所もわからず、就学の確認もできない子どもの数は累計2万4000人に達する。だが、書を読むと、この数字が現実とは程遠いことがわかる。 各地の教育委員会の未集計やずさんな調査や管理によって計上されない場合や、住民票の居住地に居住の事実がなければ住民票が削除され、学校基調査の対象からも外れる事例が少なくない。計上されていても、義務教育期間が過ぎると、自動的に調査対象外になる。数字に反映されずに闇に埋もれている

    『ルポ 居所不明児童』 消えた2万4000人の子どもたち - HONZ
    natuboshi
    natuboshi 2015/04/20
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